newR1.9.13 【都筑区偽漢方クリーム被害事件に関するご報告】

 当弁護団は,2014年に発覚した都筑区偽漢方クリーム被害事件について,約5年間にわたって活動してきたが,その内容を,記録のため,そして今後同様の事件の再発防止のために以下のとおり報告する。

1 事件の概要,被害の状況
 本件は,横浜市都筑区の内科医院が10年以上漢方と称して処方していたクリームに,ストロンゲストのステロイド(プロピオン酸クロベタゾール)が混入していることが発覚した医療被害事件である。2014年4月に問題が表面化し,多くの患者が高額の漢方と称するクリームを購入させられていただけでなく,クリームの使用・中止を原因とした急激な症状の悪化に悩まされていた。被害者(患者)の総数は判明しているだけでも2600名を超え,被害総額は5億円を超えるものであった(破産記録より)。

2 責任の原因
 内科医師のYは,医師としてステロイドを使用しない漢方によるアトピー治療を標榜していたが,処方するクリームにステロイドが含有されていないことを一切確認しておらず,また,ステロイドと同様の効果を有するクリームの処方にあたり患者への説明や患部観察を怠っていた。
 また,同医院では,Sという中国人が漢方相談を行っていたが,このSが漢方クリームを同医院に納入していた。そして,Y医師が代表を務めるKという法人がクリームの販売を行っていた。

3 関係者の責任
 Yは,上記の原因により,医師として患者に対する債務不履行責任及び不法行為責任を負う。また,SとKはYと共同してクリームを患者に処方・販売したことについて不法行為責任を負うものである。

4 Y医師の破産手続
 Y医師は,すべての被害者に対する被害弁償ができないため,2014年7月に破産手続開始決定を受けた。破産管財人が認めた破産債権は,ステロイド含有クリームの購入代金と,同医院での治療費及び一律の慰謝料であった。これらの破産債権の総額は5億円を超え,これに対して配当がなされて被害のうちの一部のみが賠償された。

5 破産債権の確定手続
 同医院では,ステロイド含有が判明したクリーム以外にも多数のクリームが販売されており,治療の一環として処方されていたこれらのクリームも多額の被害となっていた。また,ステロイド含有のクリームの使用や使用中止により酒さ様皮膚炎等が生じるなど健康被害も発生していた。管財人はこれらの被害を破産債権としては認めなかったため,当弁護団は健康被害の生じた患者からの依頼を受け,破産債権について債権届出,査定の申立,査定決定に対する異議の訴え等を行い,最終的には東京高裁にて健康被害についても一定の損害賠償を認める和解が成立した。

6 中国人Sに対する責任追及
 同医院にクリームを納入していたSに対しては,破産手続内では責任追及が行われなかった。そこで,当弁護団は,Sに対する損害賠償請求訴訟を提起し,配当では補いきれなかった損害額についてSから支払いを受けた。

7 弁護団について
 本件では,神奈川医療問題弁護団の有志38名が被害弁護団を結成し,被害者の代理人として少しでも多くの被害救済のために活動を行った。より深刻な被害回復のため身体に健康被害の結果が生じた患者から依頼を受けて活動したが,そのほか少しでも多くの破産債権者(患者)に資するよう情報提供を行った。

(本件についての問い合わせは,神奈川医療問題弁護団までお願いいたします。)